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【予想を超えた】アルトゥーラの“なぜ”を解決 マクラーレンとハイブリッドの化学反応

POST : 2021.8.16

新世代のハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカーとして登場したマクラーレン・アルトゥーラ。マクラーレン・オートモーティブとしての第一作となったMP4-12C以来初めて、すべてのコンポーネントを完全に刷新した注目作である。

まったく新しいドライビング体験を実現するべく採用されたのは、MCLA(マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー)や、新開発のV型6気筒3.0Lツインターボエンジンと高出力モーターを組み合わせたハイブリッドパワートレインをはじめとする最先端のテクノロジー。

ここでは、それらについてスペックを見ただけではわからない領域まで深く掘り下げて見ていくことで、目指した走りの地平についての理解を深めていきたいと思う。

なぜ ひと目で魅力を感じるのか

アルトゥーラのデザインは、これまでのマクラーレンの流儀を踏襲しながらも、完全に新しい。デザイン・ディレクターのロブ・メルヴィルがキーワードとして挙げているのは「純粋さ、技術的造形、機能的ジュエリー」という3項目である。

“純粋さ”は、そのフォルムに端的に表れている。ミドシップレイアウトらしいキャブフォワードのプロポーションは、まさにこれ以上何を足すことも、引くこともできない完璧なシェイプを形作っている。

すべてが意味のある形であるべきというのが“技術的造形”の意味するところだ。

たとえば、フロントフェンダーに備わるルーバーはホイールアーチ内に溜まる空気の圧力を下げて揚力を減らし、また乱流をボディサイドから引き離す役割を持つ。こうすることで整流され、ドアに描き出された流路を通ってサイドインテークから取り込まれたクリーンな空気は、エンジンの吸気マニフォールドと、パワートレイン冷却用ラジエーターに導かれる。

要するにそのデザインは、高いパフォーマンスを実現させるための空気の流れという機能が可視化されている。まさに機能美である。

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“機能的ジュエリー”も同等で、飾り立てるのではなく、あるべきものの美しさを磨くこととでも言えばいいだろう。そのボディはパネル同士の合わせ精度の向上により、徹底的なフラッシュサーフェイス化が実現されている。これは美しさだけでなく、空力的にも本来の性能の発揮に貢献する。

また左右のドアやリアのクラムシェルは一体成型のスーパーフォーミング製法で製造されている。余計な継ぎ目などが排除されて、クリーンな線と面を実現できるのが、そのメリットである。

そのデザインに魅了されるのは、単にミニマルな造形として見事だからではない。すべての形に意味があり、しかもそれを美しく昇華する、その哲学とこだわり故のことなのだ。

ハイブリッドに命を吹き込む勘所

アルトゥーラの最大の見所がパワートレインだ。V型6気筒3.0Lツインターボエンジン、8速DCT、そして高出力電気モーターといった構成要素のすべてが完全に新しい。

新開発のエンジンは、120°という大きなVバンク角が特徴だ。そのメリットは低重心化とパッケージングの効率性。その意味で、このパワートレインも車両を構成するアーキテクチャーのうちの1つとして開発されたと言っていい。

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従来のV8ユニットに対して、気筒数が少ないだけでなくボア径、そしてボアピッチが短縮されたことから、クランクシャフトは全長短縮、剛性アップが可能となった。8500rpmというレブリミットは、まさにその賜物だ。

2基のターボチャージャーはVバンク内に収められる。この“ホットV”レイアウトは、ミドエンジン車では熱の問題から採用が難しいとされていた。

アルトゥーラではホットVエリアを遮熱材で覆った上に、ボディサイドのラジエーターから取り入れた空気をファンによりここに導き、チムニーより排出することにより、これを克服している。

最長30kmのEV走行を可能とする電気モーターは、アクセルオンと同時にタイムラグのないパワーデリバリーが可能というメリットも有する。

この電気モーターは、やはり新開発の8速ツインクラッチ・トランスミッションのベルハウジングに内蔵。後進はこのアキシャルフラックスモーターを逆回転させて行なうため、後進用ギアは省略されて軽量化に貢献している。

リチウムイオンバッテリーの容量は7.4kWhで、外部電源からの充電のほか、エンジン出力を用いての充電も可能。コンフォートモードでは、40km/h以下で自動的に電気駆動モードに入るなど、走行状況に応じた緻密な制御が行なわれる。

ハイブリッド化には、もちろん環境性能向上が主眼である。しかしアルトゥーラは、それを圧倒的なパフォーマンス、そしてこれまでにないドライビング体験の実現にも活用しているのだ。

82kg? 軽さと電動化の均衡点

車体の基本骨格となるカーボン・ファイバー・モノコックは、ハイパフォーマンス・ハイブリッド専用設計のMCLA(マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー)を初採用する。

構造体にバッテリーパック用のセーフティセルがインテグレートされたのが特徴のこのMCLAは、他にもあらゆる部分が進化を果たしている。

まずはカーボン・ファイバーそれ自体が、繊維の方向性や樹脂組成のコントロール制御が引き上げられ、工程の安定性も向上しているなど、クオリティが格段に引き上げられている。使われているカーボン・ファイバーは4種類に及び、樹脂系やコア材も新しい。

構造を見ても、Aピラー/ドアヒンジマウンティング部分には金属素材が埋め込まれ、Bピラーも高さを増した上でシートベルト固定部を内蔵しているなど、新機軸がいくつも見られる。いずれも狙いは一層の軽量化、高剛性化だ。

バッテリーフロアは車両にマウントするとモノコック構造の一部として機能して、剛性アップに貢献する。また従来は別に組み付けられていたクロスメンバーの働きも兼ねており、とくに側面衝突時に効果的な吸収効果を発揮する。

コンパクト化、軽量化、高剛性化というマクラーレンが車体に求める基本哲学は、今までとまったく変わっていない。1つの部材、部品がいくつもの役割を果たすというのも、まさにそれを具現化するための方策だ。

一方で、それを具現化するためのテクノロジーは飛躍的に進化しており、MCLAにはそのすべてが集約されている。結果として、その重量はわずか82kgに過ぎず、これが大幅な重量増が避けられないのが一般的なハイブリッド車でありながら、DINウェイトで1498kgという驚異的な軽さとして結実しているのである。

“敢えて”がヒント 走りの見所を知る

完全に刷新されたテクノロジーとハードウェアを採用するアルトゥーラだが、その走りの根幹にある哲学は変わらない。即ち圧倒的なドライビングダイナミクス、そして密度の高いドライバーズエンゲージメントである。

ハイブリッド化にも関わらず車重は軽く、前後重量配分も42:58という理想的な数値を実現している。コンパクト化を志向したパッケージング、そしてショートホイールベース化によって、アルトゥーラは一層俊敏なフットワークを実現した。

サスペンションはリアがマルチリンク式に。コンパクトなV6エンジンの採用でピボット位置の自由度が増したことから、ロアウィッシュボーンを2分割して各アームの配置を最適化。こうして、サスペンションの動線を最適化するとともにトー剛性も大幅に向上させている。

Eディファレンシャルの搭載もトピックだ。車速やコーナー半径等々、多くのパラメーターを元に左右後輪へのトルク配分を高度に制御することで、最適な旋回性とトラクションを両立させる。バリアブル・ドリフト・コントロール(VDC)も、やはり新しいアイテムだ。

ドライバーズエンゲージメントの面でも見所は多い。

まずはサウンド。エンジンをサイズダウンさせながら迫力あるサウンドを演出するべく、エグゾーストマニホールドは等長化、ストレート化が行なわれた。実はエンジン音は、技術的にはもっと抑えることもできたが、敢えてそれをしなかったという。

Trackモードでは8速トランスミッションに、敢えて回転が完全に合う前にギアをエンゲージして軽いショックを起こす制御が入れられている。これも、敢えて残された変速感の演出だ。

そしてきわめつけが電動油圧式パワーステアリングの採用だろう。マクラーレンは油圧ならではのダイレクトな手応えにこだわり続けており、それはアルトゥーラにも継承されているのである。

至高のパフォーマンスとドライバーとの一体感。マクラーレンが掲げてきた精神はアルトゥーラにも継承され、そして最先端のテクノロジーによって更に高い次元で具現化されているのだ。

マクラーレン・アルトゥーラ スペック

車両価格:2965万円~
全長×全幅×全高:4539×1913(ミラー含む:2080mm)×1193mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1498kg(DIN)
パワートレイン:2993cc V6ツインターボ+モーター
最高出力(システム統合):680ps/7500rpm
最大トルク(システム統合):73.4kg-m/2250rpm
最高出力(エンジン):585ps
最大トルク(エンジン):59.7kg-m
最高出力(モーター):95ps
最大トルク(モーター):22.9kg-m
トランスミッション:8速デュアルクラッチ
0-100km/h加速:3.0秒
0-200km/h加速:8.3秒
最高速度:330km/h
最高速度(EVモード):130km/h
駆動方式:MR
80%充電時間(EVSEケーブル):2.5時間

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text:Shimashita Yasuhisa(島下泰久)
editor:Tetsu Tokunaga(徳永徹)